日本の伝統工芸品である和食器は、その繊細な美しさと確かな技術により、様々なレストランで使われています。有田焼や波佐見焼、輪島塗といった名品は、洋食のテーブルセッティングにおいても独自の存在感を放ち、高級感あふれる食卓を演出してくれます。
和食器で洋食を愉しむ魅力
伝統的な和食器は、洋食のテーブルコーディネートにおいて意外な調和を生み出します。白い磁器の有田焼は、その透き通るような質感がフランス料理の繊細さを引き立て、漆塗りの器は深みのある色合いでイタリア料理の豊かな彩りを際立たせます。
和食器のコーディネートのポイント
洋食器はシリーズやブランドごとに揃えることが一般的ですが、和食器の魅力は「取り合わせ」という考え方にあります。異なる絵柄や形、素材の器を組み合わせることで、より豊かな表情を持つ食卓が生まれます。洋食器に慣れた方が和食器を取り入れる際のポイントをご紹介します。
1. 「主役と脇役」の考え方を取り入れる
洋食器のマッチングに慣れた方には、まず「一つの主役」と「それを引き立てる脇役」という考え方がおすすめです。例えば、染付の大皿をメインディッシュ用の主役に据え、サイドには絵付けのない白磁の小皿を配置するといった組み合わせです。全てを揃えるのではなく、焦点を絞ることで取り入れやすくなります。
出典:和食器のすべて
2. 色のトーンで統一感を出す
器の種類や模様が異なっても、色調を合わせることで統一感を保つことができます。例えば「青」を基調としたコーディネートでは、有田焼の藍色の器を中心に、青みを帯びた白磁や青磁を組み合わせると調和が生まれます。これは洋食器のコーディネートに近い考え方で取り入れやすいでしょう。
3. 洋食器と和食器の混合使い
初めは全てを和食器に置き換えるのではなく、洋食器と和食器を組み合わせる方法も有効です。例えば:
- メインディッシュは普段お使いの洋食器、前菜やデザートに和食器を使用
- 洋食器のディナープレートの上に和食器の小鉢を置く「プレートスタイル」
- 飲み物は洋食器、料理は和食器というように用途で分ける
出典:TABLE MANIA
4. 素材の対比を楽しむ
洋食器の均一な質感に対し、和食器は素材感を楽しむことができます。磁器、陶器、漆器、ガラスなど異なる素材を意図的に組み合わせることで、テーブルに奥行きと変化が生まれます。特に輪島塗などの漆器は、グラスやシルバーのカトラリーと美しいコントラストを生み、モダンな印象を与えます。
出典:Queen Ann
和食器を取り入れる際のステップバイステップ
- まずは一点から:すべてを一度に変えるのではなく、前菜皿や小鉢など一点から和食器を取り入れてみましょう。
- 「共通項」を見つける:既存の洋食器と新しい和食器の間に共通する要素(色、形、テイストなど)があると調和しやすくなります。
- 季節の取り入れ方:日本の器は季節感を大切にします。春の花見の時期には桜模様、夏には涼しげな青い器、秋には紅葉や実りをモチーフにした器、冬には温かみのある朱色や漆器などを選ぶと、季節の移ろいを食卓で感じることができます。
- テーブルクロスや装飾との調和:和食器に合わせてテーブルクロスも見直してみましょう。白やベージュのリネン、藍染めのランナーなど、素材感のあるテキスタイルは和食器の良さを引き立てます。
日本の伝統工芸品である和食器は、その芸術性の高さから、単なる食器を超えた価値を持ちます。洋食器の整然とした美しさとは異なる、「不完全の美」や「わびさび」を感じさせる和食器は、普段の洋食スタイルに新鮮な表情をもたらします。ぜひ少しずつ取り入れ、日本の匠の技が生み出す美しい和食器で、日々の食卓を特別な体験に変えてみてください。