〈版築かまど〉を長く美しく使うためのお手入れ方法

前回の記事では、版築かまどを使ったおいしいご飯の炊き方をご紹介しました。

今回はお手入れ方法を部位ごとに整理してご紹介します。
使うたびに生じる「煤(すす)」「焦げ」、そして毎日付き合う「釜・蓋」。
ポイントは、道具に負担をかけない“やさしい習慣”。ひと手間が、次の一膳を気持ちよくします。

お手入れの基本

・完全に冷ましてから行う
・水分を残さず、よく乾かす
・強くこすりすぎない(釜の内面はフッ素加工)

版築かまどの部位

・本体(版築部分):土や石の層を固めた“かまどの外側・外装”
・釜(アルミ釜):ご飯を炊くための“鍋”
・釜のふた(木蓋):木製の“ふた”
この3つは、お手入れ方法が異なります。「本体=水洗いしない」「釜=毎回洗う」「木蓋=濡らしっぱなしにしない」が基本です。

使った直後の基本ルーティン

①冷ます
②本体から釜と木蓋を外す
③本体:刷毛で煤を払い、乾拭き(必要なら水拭き)
④釜:中性洗剤+柔らかいスポンジで洗う
⑤木蓋:基本は乾拭き(必要ならやさしく洗う)
⑥それぞれ風を通して、完全に乾燥させる


部位別のお手入れ方法


本体(版築部分)のお手入れ

日常

・本体内側や燃料台まわりの煤は、乾いた刷毛(やわらかいブラシ)で払う
・外側は乾いた布で、煤を“のばさず、つまむように”拭き取る
※本体は常時水洗い不可です。

汚れ・油はねが付いた場合

・固く絞った布で水拭きします
・拭いた後は乾拭きし、風通しのよい場所でしっかり乾かします

汚れがひどい場合

・中性洗剤を使い、スポンジでやさしく洗ってください
・洗剤を使った後は、水拭きで洗剤分を拭き取り、乾拭き→十分に乾燥
※強くこすりすぎないことがポイントです。


釜(アルミ釜)のお手入れ

釜は毎回洗う部位です。内面はフッ素加工のため、傷を付けない扱いが長持ちの鍵になります。

毎回の洗い方

・中性洗剤+柔らかいスポンジでやさしく洗う
・よくすすぎ、すぐ拭いて乾かす
・濡れたまま重ね置きしない

NG

・金属たわし/クレンザーの使用(不可)
・強くこすりすぎること
・アルミ釜の食洗機使用は避けてください

こびり付きが気になるとき

・水(またはぬるま湯)に少し浸けてふやかしてから、柔らかいスポンジでやさしく落とします


釜のふた(木蓋)のお手入れ

日常

・基本は乾拭き
・汚れたら固く絞った布で拭き、すぐ乾拭き→風通しで乾燥
※濡らしっぱなしや長時間の浸け置きは避けてください。

木の香りが気になる場合

釜のふたは木製のため、使い始めは木の香りがご飯に移ることがあります。気になる場合は、以下の手順をお試しください。
・ふたを中性洗剤でやさしく洗い、よくすすいで乾かします
・アルミの釜に水を入れ、木製のふたをして2〜3回ほどお湯を沸かします
※このときは、アルミの釜だけをガスコンロなどのコンロの上に置いて加熱してかまいません(かまど本体はコンロにのせないでください)。


初回使用時について

・空焚きやシーズニング(慣らし)は不要です。

保管のコツ

・本体(版築部分)はよく乾かして、風が通る場所へ
・釜と木蓋も完全に乾かしてから収納
・棚にしまう場合は乾燥剤を一緒に入れると安心です

 

火を使う道具は、使い込むほどに表情が深まり、暮らしの時間に馴染んでいきます。〈版築かまど〉もまた、煤や焼けを“味”として受け止めながら、無理なく整えることで長く美しく育っていく道具です。今日のお手入れが、次の炊き上がりをもっと気持ちよく、もっとおいしくしてくれますように。

原田左官工業所 版築かまど 詳細はこちら